シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

ロシア空爆で1,300人以上、そのうち民間人は403人?

時事通信は、イギリスに本拠地を置くNPOシリア人権監視団の情報として、ロシアがシリア領内で空爆を開始した2015年9月30日以降、死者の数が1331に人にのぼると報道しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151120-00000197-jij-m_estheadlines.yahoo.co.jp

シリアでは現在、アメリカが主導する有志連合と、ロシアが個別に空爆を行っている状況です。有志連合の空爆は2014年8月移行、8000回以上実施されています。2014年に勢いを増した「イスラム国」を標的にした空爆です。

ロシアは有志連合には加わらず、独自に空爆を実施してきました。

その辺りの経緯は過去記事をご覧ください。

民間人の死者の数の信憑性は?

シリアでは2011年に紛争が勃発して以降、多くの一般の人たちが命の危険に晒されています。2015年に注目されたヨーロッパの難民問題を見ても、彼らがいかに厳しい状況におかれているかが分かります。

シリア人権監視団は、ロシア空爆で死亡した1331人の内訳として、民間人403人ヌスラ戦線の戦闘員547人「イスラム国」の戦闘員381人と発表しています。

 

民間人の死者403人

 

この数字に対してYahooニュースには多くのコメントが寄せられていて、この数字のインパクトの強さが伺えます。

さて、今回、統計を発表したシリア人権監視団を、Wikipediaでは以下のように説明しています。

2011年1月に始まったシリア騒乱において、反体制派からの情報を収集し、しばしばAP通信・ロイター・フランス通信社などの通信社に、国内の対立の現状や反政府軍の話を提供している。また、アラブ社会の人権団体と協力し、シリア各地にいる活動家の情報を元に各種の統計を集計しているという。 創設者・代表者はラミ・アブドル・ラーマン(ラミ・アブデル・ラーマヌ、Rami Abdel Rahman ; Rami Abdelrahman)。シリア出身の彼は、「2000年にイギリスに移住、コヴェントリーのアパートに住んで洋服店を経営している。祖国のために何かをしたくて、2006年にこの組織をつくった。私はイギリスで生活している唯一の組織メンバーであり、シリア・エジプト・トルコ・リビアに軍人・医師・反政府軍の闘士など200人のボランティア通信員を擁している。誰からも援助は受けていない。」と述べている。

シリア人権監視団 - Wikipedia

しかし、

この「民間人」の定義については、注意すべき点があります。

 

アラブ地域の専門家、青山弘之・東京外国語大学大学院教授は、シリア人権監視団が定義する民間人の中にはジハード主義者(イスラム過激派)を含む反政府武装組織のメンバーも含まれるとしています。

syriaarabspring.info

synodos.jp

ロシアのプーチン大統領は、シリアのアサド大統領を支援する立場から空爆を行いました。

そのため、有志連合が「イスラム国」のみを標的するのとは違い、ロシアはアメリカが支援する反体制派の一部にも攻撃を行っています。

つまり、シリア人権監視団が発表した民間人の死者403人の中に、反体制派の武装勢力がどのくらい含まれているかに留意しなければなりません。

いまのところ、その詳細は内訳を入手できていないのですが、情報ソースを見極めてその信憑性に疑いを挟むことは大切です。

現在のように、大きな事件が連続する不安定な国際社会では、メディアが一方的に提供する情報をうのみにするのではなく、冷静な目線で判断することが求められると思います。