UNHCRのグテーレス氏、テロと難民を結びつける議論を危険視
元ポルトガルの首相でもあるアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は17日、テロ攻撃の責任を難民に押しつけるのは「完全にばかげたこと」と非難。パリで発生した事件と難民を結びつける考え方を批判しました。
Refugees should not be turned into scapegoats following tragedies like #ParisAttacks https://t.co/8kLP07wwS1 pic.twitter.com/iPROePTWc1
— UN Refugee Agency (@Refugees) 2015, 11月 17
国連難民高等弁務官とは、難民の支援を行う国連機関「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」のトップの役職です。
中東から海路でギリシアにやってきた難民は、セルビアで難民登録を行ういわば最初の重要拠点になっています。グテーレス氏は、プレセボという街にある登録センターを訪問し、次のように発言しています。
「難民が流出しているからテロが発生しているのではない。むしろ、テロ、専制、戦争が難民を発生させているのだ。」「ダーイッシュ(ISの別称)は、ヨーロッパの人々を難民に対峙させようとしているだけでなく、ヨーロッパのコミュニティに暮らす人どうし、国内のコミュニティどうし、さらにはEUの国同士を対峙させようとしている。」 UNHCR - Europe Emergency
そしてパリのテロ事件の犯人が現場にパスポートを残したのは、難民に焦点を当て、ヨーロッパが国境を閉鎖させようとするISの戦略だと説明しました。
つまり、国境を閉鎖し、難民のヨーロッパ流入を防ぐ方向に向かうのは、まさにISの思う壺だというわけです。
グテーレス氏の発言と合わせて、国連難民高等弁務官事務所は「難民をスケープゴートにするべきではない」とする見解を発表しています。
テロの実行犯が欧州に殺到する難民らに紛れ込んでいたとの疑惑が浮上したことから、一部の国々が難民流入を阻止する動きを強めていることに懸念を表明。「欧州に来つつある難民の圧倒的多数は、紛争による生命の危険などから逃れるために避難している」と主張した上で、「難民を、最悪の悲劇の第二の被害者にしてはならない」と求めた。(朝日新聞デジタル)