シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

フランス軍が「イスラム国」の首都、シリア・ラッカで大規模な空爆を開始

フランス軍は、「イスラム国」が首都と自称するシリアの都市ラッカで大規模な空爆を開始したと発表しました。

フランス国防省によると、この空爆は9月にシリア領内で空爆を開始してから最大のもの

攻撃の拠点はISの軍事訓練拠点や軍事施設としていますが、空爆の規模や現地の状況についての情報は不明です。

フランスのオランド大統領は、パリ同時多発テロ事件をイスラム国による「戦争行為」と断言。これをきっかけに、これまで実施してきた空爆の強化など、軍事介入の本格化が懸念されます。

テロ事件を受けてISが犯行声明を発表しましたが、現在のところISがテロ事件に関与した明確な証拠は示されていません。

当局によれば、パリで発生したテロ攻撃に関与した犯人は、シリアのイスラム国のメンバーと事前にコンタクトをとっており、過激派が単に敵意を煽っただけでなく、攻撃実行に加担しているとの見方を示しています。そして、ベルギーと国家をまたいだ犯罪ネットワークの存在が示唆されています。

しかし、いずれにしても、現段階では各国メディアはフランス政府や治安当局が発表した断片的な情報を元に、事件の全体像を「推測」している段階だということは意識しておかなければいけません。

今回のテロ事件に関して、フランス当局は、犯行の周到さや計画性を指摘して、組織された集団による犯行の可能性=ISの犯行という見方を押し出しています。

しかし、実際この組織がどれだけ系統だっているのかについては疑問の声もあることは事実。警戒レベルを上げていたにも関わらず未曾有の犯罪を防げなかったことへの批判をかわしつつ、「戦争」という国威発揚を狙うのは政治家が用いる古典的な(そして短絡的な)手法の一つです。

「対テロ」を目的とした軍事攻撃は、そもそもそういった集団を生み出した国際構造を不問に付し、自らを一方的に正当化する閉じた世界観の現れという事例を過去にいくつも見てきました。

また、今後の展開はシリアの難民問題にも大きな影響をあたえることは確実で、収束に向かう可能性がまた一歩遠のいたようにも思えます。