【国連WFP】難民キャンプのシリア人の子どもに食事を寄付できるアプリ「ShareTheMeal」をリリース
国連の世界食糧計画(WFP)は10日、ヨルダン難民キャンプに滞在するシリアの子どもたちに食事代を寄付できるスマホアプリ『ShareTheMeal』(シェア・ザ・ミール)をリリースしました。
アプリはAndroid版・iOS版が無料で公開されており、そこを経由して50セント(約60円)から寄付できる仕組みです。支払い方法はクレジットカードとPaypalアカウントから選べます。
60円は1日に必要な栄養を提供するのに十分な金額とのこと。WFPは、このアプリを通じてシリア難民の子どもたち2万人が1年分の学校給食をまかなえる金額を集めたいとしています。
利用者は、寄付したお金がどこでどのように使われたかなど、支援の進捗をアプリ上で確認することが可能です。
支払う金額は柔軟に選択ができ、1日分60円、1週間分420円、1ヶ月分1,800円、3ヶ月分5,400円、6ヶ月分10,800円、1年分21,900円から選ぶことができます。以下の画面で金額をタップすれば支払い画面に進んでいきます。
ShareTheMealについて、WFPのエグゼクティブディレクター、エルサリン・カズン氏は次のように語っています。「食事を分け合う(シェアする)というシンプルな行為によって、世界中の人々はつながっています。」「デジタルな方法で食事を分け合うこの取り組みは、『飢餓ゼロ世代』が飢餓を終わらせるための具体的な方法なのです。」
(参考記事)World Food Programme pins hopes on app to nourish 20,000 Syrian children(ガーディアン紙)
ShareTheMealは、今年6月、ドイツ、オーストリア、スイスで試験運用を行い、レソトの生徒たちたち170万人に食事を提供してきた実績があります。
WFPは慢性的な資金不足に悩まされており、難民に十分な食事を提供できない事態に陥っています。前述のカズン氏は、食糧援助が滞ることで、若者が過激派の勧誘に乗ってしまうリスクを警告しています。
難民キャンプで食料を確保できず、シリアに帰国する道を選ぶ人たちもでてきています。そうした若者がイスラム過激主義集団の格好の餌食になりかねないとしています。
ヨーロッパへの難民流出の原因の一つに、シリアの隣国難民キャンプの環境の劣悪さを指摘する声も上がっており、いま世界はそこに暮らす人々の生活の質を向上させていくことにも意識が向かいつつあります。
密航業者に高いお金を払って凍えるエーゲ海を渡ることも、戦禍が耐えない母国シリアに帰国することも、仕事も食料もないヨルダン・レバノンの難民キャンプに留まることも、いずれも大きなリスク。そんな八方塞がりの状況に難民たちがおかれているというのが実態ではないでしょうか。