TIME誌のスペシャルレポート(特集)Exodusを読んで
もう先週になりますが、TIME誌の2015年10月19日号で難民の特集が組まれていまいた。
ときおり、アメリカ視点での分析記事もありますが、注目の記事が多く含まれていました。
一例を紹介します。
例えば、シリア難民がスマートフォンがどのように活用し、彼らにとっていかに欠かせない存在になっているかをレポートしたパトリック・ウィッティ氏の「Searchng for Signal : The smartphone is the refugee’s best friend」。
レスボス島に到着後にセルフィーで撮影する難民の様子に反感を持つ人もいるようですが、遠くにいる家族たちに安全を知らせる手段として、そして困難を乗り越えた家族の記録として、それが大切な役割を果たしていることを教えてくれる記事です。
次は、ドイツの一般家庭で受け入れられた難民のレポートを紹介した「The Welcome : Germans open their homes to refugees」。もともとは、技術を持った難民・移民の受け入れをするために行われた運動だったようですが、現在ではそういった経済的な損得を超えて、統合ヨーロッパの理念に基づく運動に変わってきたことが伝わってきます。こうした運動はいまではヨーロッパ中に普及し、大きな潮流をなしています。
そして、今回の特集号の中心が、フォトジャーナリスト、ジェームズ・ナックウェイ氏の「The Exodus. From the wine-dark waters of the Aegean Sea to the back roads of the Balkans, documenting the dangerous passage.」です。
これはナックウェイは、フォトジャーナリストの業界の中では巨匠的な存在で、いままでにコソボ、ソマリア、ルワンダ、イラクなど人道的危機が発生している地域での取材を積極的に行い、ユージン・スミス賞やロバート・キャパ賞など名だたる賞を受賞しており、その活動は映画にも記録されています。
その彼が今回の難民危機を、難民の側の視点から記録に納めています。 その中には、混乱の中で列車に押し込められ、家族が離れ離れになってしまうショッキングな光景も映しだされていました。
ナックウェイの写真はTIME氏のウェブサイトでも公開されています。