ロシアによるシリア空爆から1ヶ月。これまでの流れまとめ
9月30日にロシア軍がシリア国内で空爆を開始してからおよそ1ヶ月
シリア情勢をめぐってロシアの存在感が一段と同時に、先行きの不透明感から難民流出のリスクが高まったとも言われています。10月7日にはロシア軍がカスピ海から飛行距離1500キロの巡航ミサイルを初めて実践で使用するなど、国際的な軍事力均衡を考える上でも重要な事態が生じてきました。
そこで、ひとまず9月末以降のロシア空爆にまつわるトピックを時系列でまとめてみました。
9月27日フランス軍がシリア領内の「イスラム国(IS)」を初めて空爆
9月28日 ニューヨークの国連本部でプーチン・オバマ会談
- イスラム国(IS)との戦いでは利害が一致していることを確認するものの、立場の違いが鮮明に
- 米国率いる有志連合とロシア軍の衝突を避けるため両陣営で情報交換を行うことに合意
9月30日 ロシア軍がイスラム国(IS)への空爆開始
- シリア北部ホムス近郊で空爆
- プーチン大統領はアサド政権からの要請があったと説明している
- 地上軍は派遣する考えがないことを主張
9月30日 アメリカは、ロシア軍がイスラム国(IS)以外の反政府勢力の拠点を攻撃していると批判
- ケリー国務長官は空爆はイスラム国(IS)を対象としたものでなければならないと牽制
10月2日 ロシア空爆をオバマ大統領が非難
10月2日 ウクライナ問題をめぐりロシア・ドイツ・フランス・ウクライナの4カ国首脳が会談
- シリア問題についても話が持たれた。
- 有志連合とロシア軍による突発的な衝突をいかに避けるかが焦点
- ロシア側は自国の立場を説明。空爆が国際法にのっとって行われていること、シリア・ロシア・イランの協調行動に各国が参加すべきだとの考えを伝える
10月2日 アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・サウジアラビア・カタール・トルコ ロシアの空爆を避難する共同声明を発表
- ロシア軍の空爆はイスラム国(IS)を標的としたものではなく、市民に犠牲者を出していると主張
10月3日 シリア人権監視団はロシア軍の空爆により市民39人が死亡したと発表
10月4日 イランのテレビでアサド大統領がロシアの空爆に支持を表明
- ロシア軍の空爆が成功しなければ中東崩壊に繋がるとの認識を示す
10月5日 トルコ ロシア軍が自国の領空侵犯を抗議
- 10月3日12時10分頃トルコ側に数百メートル侵入(ハタ県)。機体はスホイ30と見られ、約2分間飛行。
- ロシアは「操縦ミスだった」と説明。その後、NATOはロシア軍に対して非難声明を発表
10月7日 シリア上空でアメリカとロシアの軍機が接近
10月7日 カスピ海艦艇から巡航ミサイル26発を発射
- カスピ海に展開している4隻の巡洋艦から計26発発射。11カ所の標的をすべて破壊と発表
- 飛行距離1500キロ
10月8日 アサド政権軍 反体制派が支配する地域に地上軍を投入
10月9日 アメリカ 反体制派に直接武器を提供すると発表
- ISと戦っている反体制派に武器・弾薬・通信機器・を提供
- アメリカ軍は、空爆で地上の反対制派を支援する
10月10日 ロシア軍がクラスター爆弾を投下したと特定(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)
10月12日〜13日 ロシア 86ヵ所の最大の空爆 イラク軍もイスラム国(IS)を攻撃
- イスラム国(IS)の軍事拠点など86ヶ所を空爆。ロシア軍による空爆開始以降で最大規模
- シリア情報センターの支援を受けイラクもイスラム国(IS)に空爆を開始
10月13日 イスラム国(IS) ロシアに対するジハードを呼びかけ
- イスラム国(IS)と対立関係にあるアルカイダ系ヌスラ戦線も同様にロシア軍や市民を標的にすると声明。
- ロシアを支持する300人が集会を開いていたロシア大使館前にロケット弾が打ち込まれる事態も発生
10月14日 在英の民間組織・シリア人権観測所 イラン部隊数千人がシリア入りをしたと発表
- 10月にはイラン革命防衛隊患部がシリアで死亡
- ロシア空爆後に関係を強化か
10月16日 トルコ軍が無人機を撃墜
- シリアとの国境付近でNATOの規定に基づき事前に3回ほど警告
- ロシア軍の無人機の疑いも。ロシア側は否定。
10月20日 シリアでの偶発的な衝突を回避するため米ロ両軍が覚書に署名
- 両軍の機体が安全確保のために必要な距離を取ること、両軍共通の周波数を取り決め、両軍が利用可能な通信拠点を新設することなどが盛り込まれている
- アメリカのクック報道官は、今回の署名がロシアの政策を支持・協力するものではないと説明
10月20日 ロシア人戦闘員3人が死亡したと報道
- ロシア大使館は認めていない
- 死亡の3名はアサド政権軍に同行していたとの情報も
10月20日 アサド大統領 ロシアを電撃訪問
- アサド大統領の外国訪問はシリア内戦が発生してから初めて
- アサド・プーチン両大統領との会談では空爆の成果を強調。またあらゆる勢力が参加する政治プロセスの開始や、他国との連携についても話し合う。
10月21日 プーチン大統領 中東諸国の首脳と電話会談
- プーチン氏の呼びかけで、エジプト・トルコ・サウジアラビア・ヨルダンの首脳と電話会談
- プーチン氏は今後、軍事・外交の両面でシリア情勢に深く関与していく意志を伝える
10月23日 アメリカ・ロシア・サウジアラビア・トルコ外相会議(ウィーン)
- アサド氏の処遇については合意には至らず
- アメリカはサウジ・トルコを巻き込んで主導権を握りたいとする一方、ロシアは討議にイランやエジプトを含めてシリア問題に関して孤立を回避したいと見ている
10月25日 ロシアによる和平案概要が公表
- 2016年1月までに軍事作戦を終了
- 議会選挙後に移行政権を樹立
- 1年半後に新憲法下で大統領選を実施
- アサド氏と自由シリア軍の戦いが終了後に移行政権を作り、その後、両者を統合するプラン