シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

ヨーロッパ各国が緊急会合で改善案に(一応)合意

25日日曜日、ヨーロッパで難民問題に関連する10ヶ国と欧州員会のユンケル欧州委員長が緊急会合を開き、十数点に及ぶ改善案に合意しました。

www.theguardian.com

合意された措置によりどれだけ改善されるかは未知数で、実行力が伴うかどうかは各国の動き次第でしょう。

これまではドイツに向かうために自国に入国する移民をそのまま「次の」国へ列車などで移送していましたが、それが各国の対立の火種となっていました。

今回の合意で、隣国の合意なしでの移送を止めることとなりましたが、EUの正式な会合ではないこともあり法的な拘束力はありません

表向きは今回の合意措置により、これ以上の難民の流入の停止に向けた取り組みに期待をもたせているのですが、会合以前から関係諸国の間で改善案へ反対する動きが見られました

ドイツでは難民申請が今年だけで100万人近くに及ぶとも言われており、これまで寛容だったドイツでも際限のない難民の受け入れに批判が高まっています。この1ヶ月、メルケル首相の支持率は低下する一方。この改善案を提示することで国内の批判の声をかわそうとするいとも見て取れます。 難民の数は10月に入ってから過去最高レベルまでに達しており、これから冬に向けてさらに増加すると予想されています。

中東欧・バルカン諸国では9月以降、国境を超える大量の難民の問題で国内が混乱し、一部の国では総選挙で反難民・移民を唱える右派勢力が台頭。ここ数日は、各国が国境を封鎖し、スロベニア・クロアチア、セルビア・クロアチア、スロベニア・オーストリアの国境地帯に数千人が滞留する事態となっています。最近の雨により、難民は足元の悪い中での滞留を余儀なくされており、国際的な支援機関からも非難が相次いでいました

今回、会合に参加したのは主に、ギリシアからドイツ・北欧に向かう「通路」になっている関係諸国。EU加盟国であるオーストリア、ブルガリア、クロアチア、ギリシア、ドイツ、ハンガリ、ルーマニア、スロベニア、そこに非加盟国のマケドニアとセルビアが加わっています。

今回の合意内容の概要は以下のとおり。

・ギリシアとその周辺国に10万人を収容できる難民施設を設置。ギリシアに25000人分、その他の国に25000人分。そして今後、さらに50000人分を増設する予定。 ・関係国の同意がない限り、バスや列車で難民を次の通過国に組織的に送る「押し付け」を止める ・欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)の担当官をギリシャとマケドニア、アルバニアとの国境に派遣、管理を強化する。 ・「登録を拒んだ難民については他の国でも受け入れない」との原則を徹底する。 ・国際的な保護を必要としない難民の帰還を促進する。アフガニスタン、バングラデシュ、イラク、パキスタンと、送還に向けて協力する