シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

シリア難民、島国キプロス内のイギリス軍基地にたどり着く

トルコの南、東地中海上に位置するキプロスに、密航業者によって子ども28人を含む114人がたどり着きました。それも、その場所はキプロスに駐留するイギリス軍の基地であったことから、難民たちをどう処遇するかに焦点が当てられています。

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難民たちは10月21日早朝、密航業者に二隻のボートに乗せられて、基地のあるアクロティリに上陸。密航業者は高速ボートで逃走を図り、難民は基地内に設けられた仮設の受付場所まで移送されました。

下の地図にあるように、キプロスは中東の海岸に近い島国で、アクロティリの英軍基地は昨年IS空爆を行った際の出撃拠点になっていました。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も巻き込んで議論になっているのは、基地にたどり着いた難民の処遇です。

当事者であるイギリスは、難民への責任はイギリスにはないと語りました。

しかし、主権国家であるキプロスに位置しながらも、アクロティリ基地はイギリスの主権が及ぶ場所。つまり、本来は基地に到着した難民を保護する責任はイギリス側にあるはず。

UNHCRは、2003年にキプロスとイギリスの間で結ばれた覚書に言及。そこではイギリスが責任を引き受け、キプロスで生活する上でのコストが発生する場合にはイギリス側が負担するとしています。

こうした取り決めがあるにも関わらず、1998年以降、アクロティリの基地に辿り着いた難民は法的に宙ぶらりんの状態に置かれているという現状があります。


アクロティリに到着した難民はシリア人とされていますが、どのような経緯でアクロティリに向かうことになったのかは不明な点が多いです。

到着した難民は現在、基地内に滞在しているため、UNHCR側も接触ができず詳細を掴みきれていないようです。

難民はもともとイタリアかギリシアに行くことを告げられていたとか、かなり綿密に計画が練られていたとか、様々な憶測を呼んでいます。難民の処遇をめぐって今後のイギリスの対応が注目されます。