シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

【ドイツ】大量の難民流入にメルケル首相への不満と不安が高まる

今年8月、80万人の難民の流入を予測し、国内での受け入れを表明したメルケル首相の言動は、国際社会から賞賛を持って受け入れられました。その後、トラックに押し込められた70人の移民が死亡した事件や、3歳の男の子が海岸に打ち上げられたショッキングな出来事により、難民問題は最大の国際問題へと発展しました。

9月に入ってからも押し寄せる難民の数は衰えることなく、EU内でもその受け入れをめぐって衝突が繰り返されているのは羞恥のとおりです。

ここ数週間、難民の受け入れに積極的に思われたドイツで、メルケル首相に対する風当たりが急速に強まっています。

10月3日でドイツ統一25年を迎えますが、 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151002-00000081-jij-eurpheadlines.yahoo.co.jp

メルケル首相の支持率51%(ドイツ公共放送ADR)は、ギリシア問題でEUの債務問題が表面化した2011年以降最低を記録。その一方で、メルケル氏の難民受け入れ政策を批判するキリスト教社会同盟のゼーホーファー党首の支持率は急上昇しているとのこと。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151002-00000062-reut-asiaheadlines.yahoo.co.jp

移民・難民の流入については、その規模に脅威を感じるとの回答は前月比で13%ポイント増えて51%に。ドイツにとって移民や難民が利益よりも不利益をもたらすとの回答は、同11%ポイント増の44%となった。 一方、首相の難民政策を強く批判するキリスト教社会同盟(CSU)のゼーホーファー党首への支持は11%ポイント増えて39%。支持率が最も高かったのはシュタインマイヤー外相の65%で、ショイブレ財務相の64%が続いた。

いまでも多くのドイツ人が難民支援のボランティアに駆けつけるなど、その生活を支援する草の根の動きが根強いのは確かです。しかし、その一方で急速な難民の拡大に不安を覚える人たちも増えており、実際に各地域では受け入れ体制の構築に悲鳴を上げているのも現実です。

webronza.asahi.com

メルケル首相は100億ユーロ、日本円にして約1兆4000億円の予算を難民政策に割り当てることを決めました。ただし、それが可能なのはドイツ経済が好調で、堅実に財政黒字を生み出しているという背景があります。

難民を受け入れた後も少なくとも数年間は難民に対する財政的な裏付けが必要であり、景気に陰りが見えた時に国の予算の配分をめぐり軋轢が生まれる可能性もあります。

これだけ多くの難民が押し寄せていても、最終的にはドイツがなんとかしてくれるという「保証」があるので、各国がかろうじて持ちこたえているという側面があることは否定できません。砦であるドイツが内部崩壊することがもっとも最悪のシナリオのように思われます。

様々な負担を国際社会でどう分担していくかは、中長期的なタームで見ると極めて重要な問題に感じるのであります。