シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

EUがまもなく難民の受け入れ枠に関する方針を発表か

EUは加盟国の人口、収入、失業率に基づいて、国ごとの難民受け入れ枠を義務化する方向で進んでいるようです。

Mandatory national quota system expected to be based on EU member country's population, income and employment.

Nations split ahead of EU's release of refugee quotas http://www.aljazeera.com/news/2015/09/nations-split-eu-release-refugee-quotas-mediterranean-150909041714912.html

この記事によると、スピーチ冒頭、欧州委員会委員長ジャン=クロード・ユンケル氏は、難民を保護するとともに、国境警備を強化し「不法移民」を強制送還するとも述べています。

この方針に対して、ドイツ、スウェーデン(人口比でもっとも多くの難民を受け入れている)、イタリア(地中海をわたって流入する難民問題に頭を抱えている)、フランス、スペインが賛同している模様。

難民受け入れを拒否した場合、制裁金が課される可能性もあるとのこと。

この案に対して、ハンガリー、チェコ、ポーランド、スロバキアは反対をしており、難民受け入れを巡ってEUが二分している状況が説明されています。

#長期的にこの方策を運用する場合、いくつかの懸念点が考えられます。特に「不法移民」の取り扱いについて。どのように「不法」を定義するのか?パスポートを持たないなどの証明書がない場合、どのように判断するのか?審査に不必要に時間がかかってしまい、本来すぐに保護を受けるべき難民が適切な対応を迅速に受けられないリスクはないのか?など、考えられる課題が多いような気がします。

 

##最終的にハンガリーなどの反対国がこの案を受諾した場合、ドイツやスウェーデンなどと同等の生活の質を難民が保証されるのか?という懸念もあります。そうなると、結局、人気の国とそうでない国に差が出て、結果的に一部の国の負担が大きくなる心配はないのでしょうか?ただし、いずれにしても現在は難民にとって危機的な状況であり、受け入れ体制を早急につくり上げることが先決ではありますが。