シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

難民問題でEUが23日に臨時首脳会議

EU大統領のドナルド・トゥスク氏は先日、シリアからの難民問題に関する特別会合を召集すると発表しました。首脳会議の開催はドイツの強い要請を受けたもの。ドイツやスウェーデンなど難民受け入れを推進する加盟国と、ハンガリーやスロヴェニアなどの東欧諸国との間で立場の違いが先鋭化した中での開催となります。

実はこれ、難民の今後だけでなく、EUの将来にも影響を与えそうな重要な会議になるのではないかと考えております。

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首脳会談の焦点は、EU各国への難民の強制割り当ての実施がされるかどうかにあります。これは、EU加盟国で16万人の難民受け入れを分担するプランで、受け入れを拒否する国には罰金を設けるという案も出ています。

この案を支持しているのはドイツ、スウェーデン、オーストリア、イタリア。ポーランド、ハンガリーなどの東欧諸国は反対の立場を貫いています。またイギリスもEU主導のこの政策については批判をしていて、参加する意向はないと言われています。

英ガーディアン紙によれば、首脳会議では割り当て策に合意が得られる可能性が高いとされています。しかし、割り当てに対しては、「スロバキア首相のロベルト・フィツォ氏は、その決定には乗らないし、押し付けによる数量割り当てを守らないと言っています」。

そして、この案の採択に拒否権が認められない特別多数決方式(Qualified Majority Vote (QMV) )が採用されるかも重要な問題だとしています。

それにたいして、難民の受け入れを強制的に割り振る方式ではなく、自発的に各国が受け入れ数を決定する方法を模索する動きもあります。UNHCRのアントニオ・グテーレス氏は、難民が全て受け入れられられることが大切であり、方法は問わないと要求しています。

袋小路を脱する一つの案は、強制ではなく自ら受け入れ数を決定することだろう。UNHCRのアントニオ・グテーレス氏は、難民がすべて受け入れてもらえるのであれば、強制であろうが自発的なものであろうが構わないと述べている。

23日の首脳会談に先立って、内相会議が行われる予定になっていますが、まずはそこで各国の利害や思惑がどのように表面化されていくのかにも注目をしたいところ。