シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

難民受け入れに難色を示すEU旧共産国の内情

旧共産主義EU加盟国で難民が冷遇される背景について、ロイターが分析しています。

Refugees face frosty reception in Europe's ex-Communist east http://uk.reuters.com/article/2015/09/09/uk-europe-migrants-east-idUKKCN0R90BF20150909

 

Slovakia, a country of 5.4 million with a strong Roman Catholic tradition, is a largely homogenous society with next to no experience as a destination for immigrants.

The leftist government, facing an election in March, says it wants to keep it that way, a challenge to the nascent plan by European leaders for each of the bloc’s 28 members to take in a quota of asylum seekers in answer to Europe’s worst refugee crisis since the Yugoslav wars of the 1990s.

Slovakia is being asked to take in 2,287 migrants, many of them likely to be Muslim, according to the European Commission plan; Bratislava has offered to accept 200 and raised eyebrows when it said it preferred they be Christians.

 

スロバキアはカトリックの影響力が強い人口540万人の国家で、同質性の高い社会であり、移民の目的地となった経験がない。左翼政権は3月に選挙を控えており、現状を維持したいというのが実情。1990年代のユーゴスラビア戦争以降最大となるヨーロッパの難民危機に対応しようと避難民の割り当てを行おうとする各国主導者たちによる計画への意義を申し立てている。スロバキアは2287人の難民を受け入れるように求められている。欧州委員会の計画ではその多くはイスラム教徒だ。ブラチスラバでは200人を受け入れる提案をしているが、驚いたことにキリスト教徒を望んでいると主張した。

 

記事によれば、スロバキアの外国人は全人口のわずか1.4%で、1993年以降、651人しか難民を認定していません。そして、今年難民申請があったのはたったの109件。

 

そして、スロバキア首相ロベルト・フィツォ氏は、難民の中に「テロリスト集団」と関係のある人々がいる可能性があること、また95%は被害を逃れるためではなく物質的な豊かさを求めて流入するとの持論を展開しています。

 

このフィッツォの主張は、移民を締め出すために国境周辺にフェンスを張り巡らせたハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相のものと似ていると記事では指摘しています。社会学者のMartin Slosiarik氏によれば、これは選挙を意識して国民の不安を煽り立てていると説明しています。スロバキアでは7月の世論調査で、40%の人たちが移民問題を最重要課題と捉えているなど、フィッツォ首相の思惑が的中したと書かれています。6月には移民に反対する数千人がデモを行って、暴動に発展するという事態も生じています。

 

#国ごとの割り当てを行ったとして、国によって難民の待遇や社会的位置づけが大きく違ってくる可能性があります。そのため、割り当て人数だけでなく、待遇や質的側面での状況を各国で監視していく必要性もでてくるかもしれません。