シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

日本での難民申請のハードルはますます高くなる

インディペンデント紙に日本の難民政策に関する記事が掲載されていました。

www.independent.co.uk

日本は2014年、年間5000件申請のうち、わずか11件しか受理していないことで知られていますが、この記事によると今後ますますその締め付けが厳しきくなるのではないか?とのことです。

政府の試案には、不備のある申請者の強制送還、再申請の制限、難民申請者の事前審査が含まれるようです。ただでさえ厳しい条件が、さらに厳しくなってきます。

水曜日には難民申請者によるデモが東京で行われています。

 

日本は「難民の地位に関する条約」の締結国です。それによれば、人種、宗教、国籍、特定の社会集団・政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがある場合は、どんな人であっても保護すべきとなっています。

 

Japan is a signatory of the UN’s 1951 Refugees Convention, which is intended to guarantee protection for anyone who has fled their homeland because of a “well-founded fear of being persecuted for reasons of race, religion, nationality, membership of a particular social group or political opinion” and is unable to return.

日本は1951年の難民の地位に関する条約の締結国。条約では「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ために自分の住む国を逃れ、戻ることができない人は、どんな人であっても保護することを保証している。

 

ところが、そこには戦争や紛争から避難してきた人たちを保護することが明記されていないことから、日本政府は彼らを難民として認めておらず、今後も認める方針はないとしています。

 

But the government does not class escaping war as a legitimate reason for claiming asylum, and has no plans to widen its criteria to include flight from conflict, Mr Sato said.

しかし、政府は戦争からの避難を難民保護の正統な理由にならず、紛争からの逃避まで基準を広げる考えはないとしている。

 

That distinction would exclude the bulk of men, women and children currently fleeing to Europe, mainly to escape brutal conflicts in Syria, Iraq and several other nations.

この基準に従うと、シリアやイラクを始めとした国家の過酷な戦禍を逃れるために、現在ヨーロッパに流入する男性、女性、子供のほとんどは難民に含まれないことになる。

 

憲法9条が時代にそぐわないとして改憲を強硬に訴えているにもかかわらず、1951年に締結された条約は条文通りに解釈する日本政府。

難民に対して日本としてのビジョンを持たないまま、場当たり的な対応に終始することだけは避けたいところ。