シリア難民危機を考えるブログ

シリア難民に関する情報を集約していきます。難民問題と切り離せないシリアや中東情勢についても検証します。

仏カレー難民キャンプにバンクシー作品『難民スティーブ・ジョブズ』の壁画が現れる

フランスの港街カレー難民キャンプにスティーブ・ジョブズのイラストが描かれました。『難民スティーブ・ジョブズ』と題されたこの壁画は、メッセージ性の強いアート作品で定評のあるバンクシー(Bankcy)によるもの。キャプションには「シリア移民の息子」と書かれています。

ジョブズは、彼のシンボルマークである黒のタートルネックとジーンズを着用し、右手には初代のAppleを、そして左手には黒いゴミ袋を抱えた姿で描かれています。第二次世界大戦後に米国に渡ったシリア移民の子どもとして生まれた彼のバックグランドを指摘されています。

スティーブ・ジョブズの生物学上の父親アブドゥルファタハ・ジョン・ジャンダリは、シリアの裕福な家庭に生まれ、アメリカに博士号を取得するために渡ってきました。そこで、母親ジョアン・シーブルと出会いスティーブを出産。(その後、ジョアンの両親の反対もあり、別のアメリカ人夫婦の元で養子として育てられるという境遇にありましたが)。

当然、ジョブズの父親がアメリカにやってきた背景と、現在のシリア難民の境遇は全く異なるものです。

しかしバンクシーは、この作品の背景について次のように説明しています。

私たちは移民が国の資源を枯渇させると考えがちです。しかし、スティーブ・ジョブズは知り合い民の息子として生まれたのです。Appleは世界で最も収益を上げている企業であり、年間70億ドル(約8500億円)を超える税金を支払っています。それがあるのは、ホムスからやってきた一人の若者を受け入れたからなのです。(Banksy uses Steve Jobs artwork to highlight refugee crisis (Gardian)

バンクシーはこれまでにも様々な作品を世に出していますが、2015年夏には消費主義やグローバル化をパロディーにしたディズマランドを開設。その後、解体後の資材を、今回の壁画が描かれたフランス・カレーの難民キャンプに運び、避難所を建設するという取り組みを行っています。

 

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フランスの港街カレーは、イギリスに渡るためのポイントになっており、シリア、アフガニスタン、エリトリアから来た難民が多く滞在しています。貨物列車などにひかれて死亡する事故もたびたび発生するなどの問題も発生しています。

 

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